知的財産を身近に捉えてもらう良いきっかけになりましたー 株式会社 カネカ 様
―カネカさんでは、CUBISを導入する前の新入社員研修はどのようなスタイルだったのですか?
<持井> これまでは講義が中心の研修でした。難しそうな知的財産の講義に、居眠りをしそうになる人もいました。数年後に聞いてみると、新入社員研修で何を学んだのか記憶に残っていない研究者が多く、研修を主催する側としてとても残念で、そういう部分を変えたいと思っていました。
―CUBISを導入しようと考えたのはその辺りが理由ですか?
<川端> そうですね。もう一つの目的として知的財産に親しみを持ってもらいたいという思いもありました。
<小川> 私は3年前まで研究所にいたのですが、特許になる発明は限られているので、特許出願も研究者一人が1年に1度するかどうかでしたし、部署によっては入社してから数年後に初めて出願したという人もいます。入社時に座学で学ぶだけだと実際に使うときには忘れてしまっていたり、難しいイメージを持つ人もいると思います。
―知的財産というものがあるということはわかっていても、自分の仕事とどのような関係があるのかまではわかりにくいですよね。
<持井> 特に新入社員にはリンクしないですよね。私の役割は研究者向けの知的財産研修をブラッシュアップしていくことなので、より実践的な教材がないかと調べていたところCUBISを知ったんです。「ビジネスに知的財産が必要」という謳い文句に興味を持ち、導入の検討を始めました。
―上司の方にボードゲームを使った研修を提案した時、批判的な反応はなかったでしょうか。
<持井> 正直に言うと、最初は微妙な反応をされる方もいたので、実際に体験してもらいました。トライアルを実施したことで、CUBISが楽しみながら知的財産の重要性を学習できる教材であることを理解できたと思います。その結果、新しいエッセンスを取り入れていこうと話がスムーズに進みました。
―実際に新入社員研修で使うのは今回が初めてだったと思うのですが、どんな感じでしたか?
<小川> 受講生は飲み込みがとても早く、盛り上がってもらえました。
<持井> とにかく飲み込みが早くて驚きました。実際にやる前は、新入社員には難しいのではないかという意見もありましたが、今回トライして全く問題ないと感じました。
―実際に導入する際の社員の皆さんの反応はいかがでしたか?
<小川> やはり座学だけでは記憶に残りづらいので、受け身ではなく自分が参加するというスタイルの方が「あのとき勉強したな」と思い出しやすく良いなと感じました。
<持井> ゲームの中で新入社員が「特許を早く取っておかないと」と話しており、ゲームを通じて特許を早く取ることが重要であることを体感できている様子でした。特に後半のカードや訴訟はとても盛り上がっていました。訴訟を起こされると会社にダメージを与えるということも、ゲームから体感できたことの一つです。
―CUBISを研修に取り込むうえで難しいことはありましたか?
<川端> 時間配分ですね。ゲームに何分間取るかということを、最後まで悩みました。実際にやってみて、思っていたよりもゲーム進行のペースが早かったです。
―CUBISをやる際に工夫されたことはありますか?
<持井> 今回は全12チームでCUBISを実施したのですが、各チームの優勝者に景品を用意しました。また12チーム中の最高得点者を発表し、受講生全員で拍手を送り、場を盛り上げました。
<小川> ルールの紙を1枚ずつ用意して、先に目を通してもらったことでゲームについて早く理解できていたと感じました。取得できる特許の数がいくつあるのか、先に伝えておく必要があるかなと思い、「特許は早いもの勝ち」であることを途中で伝えました。
―新型コロナウイルス感染症への対策面ではどうでしたか?
<持井> 普通の講義だと、全員同じ方向を向いて座席の間隔も確保することができるのですが、CUBISはどうしても対面の配置になってしまいます。このため、今年度CUBISを導入して良いのか悩みました。今回は、マスクの着用、会場の扉の開放、空調設備による常時換気をしながら、消毒液を各グループ1つずつ用意し、ゲームの前後で手指を必ず消毒するように対策しました。
―CUBISに対してご要望があれば教えてください。
<持井> 改善点としてはコインを判別しやすいように色を分けて欲しいなと感じました。それと、はじめにルールを説明する際、スタッフの知識が浅いとうまく説明できないので、ルール説明の動画があると嬉しいです。
<津田> 今回私が担当したグループでは「訴訟」の勝率が高すぎました(笑)。ゲームとしては面白いのですが、ちょっとギャンブル性が強く出ましたね。
<小川> 実際の訴訟だと、訴えられた側も反論することができるので、そういう要素があってもいいと思いました。
―最後に、同じように企業で知的財産教育をされている方にメッセージをお願いします。
<川端> CUBISは、知的財産を身近に捉えてもらう良いきっかけになると思います。
<津田> 権利を持っておくことで事業上有利となる場面がある、ということを体感することができると思います。
<持井> CUBISを導入して、新入社員の知的財産に対するハードルが下がり、記憶に残る研修になったと思います。